2011年3月23日水曜日

18 マルい頭の自転軸をずらして

  小学生の算数の問題  
数学科を卒業した若人Yさんに軽い気持ちで出題したところ、思いも寄らない議論になりました。ちなみに普段数学は圧倒的に負けますが算数はぼくの方が圧倒的に速く正しく解けます(`-ω-´  )

次の□にあてはまる数を求めなさい。
『半径4cmの円Aの内側を半径1cmの円Bが一周します。すべらずに転がって元の位置に戻るとき、円B自身は□回転します。』


考えてね。ちょっとむずいよ。


  ぼくがこれ一人で考えたとき、一瞬である答えが思い浮かんで、よく考えたけどやっぱり正しいと思った。その答えは4。円周の比4:1だから。

で解答を見ると、違う。うぇwなんでww

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  数学科卒Yさんは当初「まあ4か2か1っぽいよねぇ」と直感したものの、いつも通りゆっくりじっくり考えて、一回で正解の3を当てました。参った。


          解は3です(´゜д゜`)

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●僕の間違った解説●
直線状で円を転がすとこをイメージして、周の分だけ転がったら間違い無く一回転してるだろ、と。じゃあ転がる道のりを円周で割れば、答え出る。…うむ。
●正しい解説●
円周が4倍なんだから、円Bが円周の長さだけ転がったときには円Aの4分の1だけ、だから90°進んでる。そのとき、円周の長さだけ転がったんだから、円Bが円Aと接してる点は出発するときと同じはず。だから…円Bの向きも90°回転してるのがわかるかな?最初は上を向いてた円Bが今は右を向いてる。ちょっと考えると分かるけど実は270°回転してる。
●正しい解答●
これが4回あるわけだから、4分の3回転×4=3回転。わーやられた。公式の解説では、中心Bの移動距離を円周Bで割っていました。なるほど中心が円周の長さだけ動けば一回転かなぁ。
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・・・・・・はて、これで全部納得いくだろうか。いいえ、いきません。一つが正しいからといって他が間違ってるとは限らない。間違っている理由が分からないのをほっておく正当な言い訳にもならない。


どうして最初の考えが間違ってるのか。円は確かに、足を地に付けた状態から転がり始めて、その円周を全部地面に触れて、また足を地につけた。でも、一回転してない。でんぐり返しして、ちゃーんと体全部が床に触るように転がってまた足が付いたのに、一回転してない。と言うと、Yさんもやっぱり4回転だと言ってくれました。

●「1回転」という言葉●
ここで僕が文字通り分かったのは、「1回転」という言葉の定義には二通りの認識があるということです。今言ったとおり、周全部使って転がったら1回転。だって、そうじゃん。もひとつは、この問題のように、同じ形に戻ったら1回転。

●「円自身の回転」という言葉●
んだけど、なんで?なんで?これらについては、Yさんと「円自身」という表記について議論してる間にきっとこれだという答えが見つかりました。Yさんは、僕の例えが気に入ったらしくて、「円自身」ってことは円本人の気持ちになる、つまりでんぐり返しして円は1回転してる気持ちだから答えは4回転だ、とカントみたいなこと言う。それに対して僕は、「円自身」ってのは、つまり周りの環境をあまねく無視して円の回転だけを見るという意味であって、でんぐり返しはあくまで円Aがあってできることだから「自身」という言葉を算数的に、つまり根本的に捉えていないと言ってこの問題を弁護しました。
  この二つの解釈は、円を主観的に見るか客観的に見るかの違いだよね。さっきの回転の定義も、主観的な認識か客観的な認識かの違いだと思う。こんなにはっきり分かれるんだ面白い。ここでYさんは問題文はどちらともとれるから両方正解と言ってくれました。

●主観と客観どちらを正しいとするか●
ここまで認めてもらって安心した僕は考えが進んでしまい、この回転という言葉の認識がおかしいということにしたくなった。数学に主観を持ち込むのはどうしても違和感があるので、「自身」なんて言わなくても回転というのはそれ自体の回転、客観的にそれだけを見たときの回転と認識することにしたい。とりあえず数学的定義をWiki先生に訊くと、"回転中心と呼ばれる固定点から各点への距離を変えず、点同士の相対的位置関係、すなわち距離と向きをも変えない変換であるということになる"らしい。なるほどやっぱり先生。他にどこを見ても周とかの記述は見つからない。さっき言ったようにそれはあくまで「1回転」じゃなくて「1周」なんだろね。今となってはすごく当たり前に聞こえる。

●どうして混乱したのか●
少しだけ考えたんだけど、直線上をサイコロや球を転がした場合、1周と1回転はぴったり同時。こういうふうに、1周と1回転はいつもいつでも同時に起こるものだったんじゃないかな。なるほどプラトンの洞窟の中にいたのかしら。そして。もちろん曲線上をサイコロは隙間無く転がすことはできない。だがしかし、曲線上を隙間なく転がせる唯一の形が円、というか曲線なんだ。だからこの問題のような場合だけ、今までぴったりくっついてたこの二つの関係が剥がれて、こうやって考えられたんじゃないかと。いやぁ、どうしても正しいはずなのにどうしても正しくない、思想が眼に見えるようにねじれるのは面白かった。だまし絵でも見てるかのようで、実際は自分が元々持ってる認識の方が錯覚だった。

それにしても…どうして曲線が曲線上を転がると1周が1回転じゃなくなるのか、全然変じゃなくて当たり前な気もするし、不思議な気もするなう。

とかいう話をしました。Yさんいつも素直で独特な世界観をありがとう★☆★

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( ^^) _旦~~ おきがるにどうぞ。