2011年8月4日木曜日

40 「IMERUAT」日本初ライブレポート

私の最も愛する音楽家である、元スクウェア・エニックスのコンポーザー、浜渦正志氏が昨年「AINU REBELS」の女性ボーカルMinaと結成したユニット「IMERUAT」の日本での初めてのライブが、2011年7月31日(日)に東京の二子玉川のライブハウス「KIWA」で開催された。

浜渦氏はFFXIIIのサウンドを作り終えてフリーランスに転身してからも、ゲームを中心に楽曲提供を続け、FFXIIIのピアノコンサート、FFのコンサート「Distant World」、任天堂ゲームのコンサート、パリでの初めてのIMERUATのライブなどなど、表に外に出る機会が増えていて、ファンには嬉しい限り。

IMERUATのメンバーは二人とも日本人なのにパリが初ライブとはいかがと思ったけども、出生地はミュンヘンと北海道のアイヌ地方という型の破り方だし言うことは無い。基本的に準備してくれれば来てくれるらしいからIMERUATのファンでコンサートライブに詳しい人は定期的にお願いします。

以下レポート。うろ覚えなんでいろいろ順序とか違うかも知れないんでなんかあったら教えて下さい。

   ●開場。ホール、ロビー●   
18時開場の自由席なんで前列から埋まっていくんだが、後ろを陣取る人が多いのも浜渦ファンの性かも知らん。私は前列の左側、つまり浜渦氏が座るPCとピアノの間あたりを取りました。が、「後から来るお客様がいらっしゃるので左席が一つ空いている場合は大変恐縮ですがお詰めくださいっ」的なこと言われて2つ詰めたら浜渦さんの顔すら見えにくくなったけど後から誰も来なかったよね。以前のライブにも独りで来てたっぽい女性がすげー嫌そうなアピールしてたけどあの顔は無かった。

19時開演なんでしばらく時間があるんだが、僕は大人気無くひたすらあたりをキョロキョロ見回してたんで、特に浜渦さんのファンには気になった方が多かったと思うけど、やっぱり客層というものが気になったし、前回のピアノコンサートが80名だったのに対して今回も200名程度で浜渦さんもアットホームにやろうと言ってたので、また濃いファンであるなら信頼できるデータになろうと思って。と見てみると、前に見た顔がけっこうある。4年前くらいの握手会のときの顔もある。やはり外国人もいる。本読んでるぜ。若い男性陣が前列を独占しておる。やはり前が若年、後方が大人、曖昧に軽い人が散って、端に重しがいる感じだった。

地下なんで狭いけどホールの外では物販。女性っぽい男声っぽい人と明らかに外国人っぽい男性が売り子。買い占めると悪いからCDは2枚でステッカーは3枚までしか買わなかった。ステッカーは一個100円だし終わる頃には完売してた。CDどんな曲入ってんかと思ったらすでに配信されてる3曲だけだったわ。でも一応限定だって言ってたのでうまうま。でバーで本日のカクテル的なヴァンパイアブラッド(゚д゚)ウマーした。お客さんの気分に合わせて適当に作ってくれたりもするらしい。

   ●開演〜三曲目●   
なんかブルースともなんとも知らん歌モノの音楽が流れてて、時間になったら急に浜ちゃんの未公開ぽい弦楽器系の曲流れて、んで「HARU NO KASUMI」流れて、曲数少ないのに流すのかよと思ってる間にMinaさんが横のドアから入場して黙ってステージからお客さんの写真撮って帰った。席替わんなかったらもっと映ったぜ!パフォーマーとして見たのは初めてだけど、すげー綺麗な人だと思った。照明とかもカラフルで綺麗。この時点でお客さんのノリは良からず。

暗い中横のドアから正志氏とギタリストの田部井とおる氏参上したけど拍手起こり、一曲目。憶えてないけどすごくピアノの高音が美しかった。あとゲーム音楽ではあり得ない不協和音で楽しい部分があった。つか浜渦さん人前で演奏しないようなこと言ってたのに…(´・ω・`)ピアノお上手すなぁ。ピアノ弾く手めちゃめちゃ見たかったのに。KIWAさん反省です。

二曲目。基本的に歌詞が英語っぽいようで、あれアイヌ語じゃないのと思ったんけど、たぶん織りまぜてるんでしょうね。Minaさんの表情が豊かで、女の子の情熱的な恋心みたいな印象を受けた曲でした。「One,two,threee… Don't worry. Four,five,six,seven,eight...」みたいな歌詞があり、「五、六、七」みたいなんで締まり。非常に単純なメロディで遊ぶ浜渦さんらしい歌詞だなぁと思いました。歌詞は誰が作ってるのかは今のところわかってないけども。

MC。普通の挨拶。アーティストとしてこのMC力の尋常じゃなさが初々しい。Minaさんは浜渦さんの指示待ちが基本で、舞台中央から隅の浜渦さんを幾度も振り返ります。楽器や曲の説明も浜渦さんに一応確認取るほど何も決めてないあたりは自然で好感。「つないでもらえますか」とつっこまれるMinaさん。「Minaとはひょんなとこで知りあって、Minaのグループのお手伝いというか、楽曲提供とか音楽指導したり…。で僕ゲーム音楽の仕事してたんですけど、ゲームに声が合うかなと思って入れてみたらいい感じにうんたら」

「今日来られる方のリストをざっと見たんですけど、お一人で来られる方が多いなーと思って」「楽しみたいって思いが強いってことですよね!」「浜渦のファンは重たいって言われるんですよ。なんか前の日に別の作曲家さんのイベントがあって次の日になったら全然客層が違うって」「固くならずに楽しみましょう」←あなたたちがなwリスト見てくれて嬉しい。友達誘いたいけどチケット少ないのにもったいないと思って。

次の曲。スタンドマイクにぶら下げてあったムックリを持って、びよんびよん。これをマイクでライブで聴かせるのはけっこう大変なのかも?しかしすごいビブラートをかけることもできるし、鳴らした響きを口で止めてボコーダーのような低音も出せるみたいで驚いたー。ムックリは鳴き声や風、リズム的な配置が多かったけど、しっかり歌う部分もあって楽しかった。引っ張る腕が力強かった。

MC。「あっムックリの説明してなかったですね…」材質は竹なんですって。ソロで長めに聴かせてくれました。浜渦さんがなんかつっこみたそうだったけど間合い掴めてなかった。つーかこの人達かなり緊張してるw で田部井さんも緩衝剤として話します。すげー細くてサラサラした人だった。すげーニコニコしていいおじさんだった。声域はどこか知らんけど、二人とも低音がよく響いて好い声。明るいけど敬語で謙虚でした。

   ●親友、田部井とおる氏と●   
Minaさん去ってFFXIIIより「ヤシャス山」ギターとピアノ。「この曲名がヤシヤスさん、なのかヤシヤスやま、なのか分からないんですよね」と。手がちらりと見えたんだけど、市販のスコアとは違って、左手の跳躍は無くて中程でコードを鳴らしてる感じだったわ。とはいえプロのギタリストに対してプロの作曲家ですから、緊張か鈍りかというピアノで、二発ほどミスったと詫びる浜渦さんに続いて田部井さん「これは間違いではなくて、この二人のアレンジだとこうなるってことじゃないですか」浜渦「…その通りやなぁ…」客( ^∀^)ゲラゲラ

まだ曲数も少ないんで作りかけのレアい曲をBGMにトーク
「メモ見ましょう…BGM流しながら話す、しか書いてへん」
「二人は東京藝術大学というところに入学したんですけれども、動機が不純なんですよ。僕は作曲したいと思ってたけど勉強したことないし、と思ってたら親が声楽家やったもんですから、声楽は声変わりしてからでも大丈夫やったんでやるか、と。で彼も…ギタリスト目指してたんよね?ギター専門に教える学科が無いもんだからしょうがなく声楽科に入ったということです」
「で半年くらいは喜んで歌ってたんですけど、だんだんやっぱ曲書くほうがおもろいわーと思って、他に誰かおらんかなーと思ってたら、おったから(笑)。」「弾きながら歌ったりしてましたね」「ほんですごい気が合ってしまって。最初はなんやギターなんか担ぎおってと思って嫌いでしたけどね」的な話。緊張ほぐれているみたいです。

「彼にはアンリミテッド:サガ、武蔵伝II、FFXIIIでも弾いてもらいました。やりたいコードを思った以上に弾いてくれるので」
「浜渦の曲は頭おかしいと言われて、若い頃はなんやそんなもんってつっぱねてたけど、最近になって自分でもヤバかったんかなぁと。普通に作ってるつもりだったのに」「いや、おかしいってのは、作曲家を評価する言葉が見つからないだけでアレソレ」「別にそんなフォローしてくれなくていいんやけど…」

「BGM邪魔やね」「我々は音楽をBGMとして聴けないんですね」「…ほらここ、悲しいやろ」作りかけは気になるよね。でも我々も新曲に気が気でなかったことにお気づきかしら。
「ほんでなぜかフュージョンバンドとか組んで」「コントとか撮ったり」(゚д゚)え?
「まさかこうして一緒の舞台に立つことがあるとはねぇ。我々には感無量なんですよね」
後で「仲が良い仲が良いとはあまり言えないものでは」と訊くと、「喋ること無かったからかも」と仰せでした。

「Minaいたの忘れとった。こっち来てください」「お話は盛り上がりましたか?この二人がいると延々ボケあってるんですよ」「だって…楽しいからね(笑)」「田部井さんは学生時代の武勇伝があるんですよね?」「これ話していいんかな…?」「大丈夫です!」「まだスクウェアに入社して作曲の仕事もあんま無かった頃、大先生の曲にコーラスで参加することになって、で僕が何人か連れてきますよって言って彼も歌ってたんですよ。まぁコーラスは楽しいからね。でスタッフの人に『(゜o゜)?』って訊かれたとき、こいつが『ъ(゚Д゚)!!…(¬_,¬)』って」「もうハマとは仕事できないなってよぎりました」「そのあと俺すごいキレたらしいな。もうお前とは仕事せん!って。数日後には遊んでましたけど」


   ●五曲目〜ラスト●   
「Cirotto」鳥がなんちゃらって意味らしい。弦楽器トンコリをMinaさんが演奏。やはり女性を象った楽器で、体内にはタマが入っていて、傾けるとゴロゴロ音がしました。やはりすぐにチューニングが狂うとのことですが、絶対音感などは持ってないと主張する浜渦氏が0.5秒で全ての弦を聴きとってOKを出しました。かっけえ。MinaさんのUpopoパートの音程は配信されてるものとまた微妙に違って聞こえた。こんな大人っぽい声も出せるのね。

次。田部井さんと連弾。浜渦さんがセカンド「できたてほやほやの曲です。歌詞は今朝できました」Mina「なんかおじさんが並んでて面白いですね」
「きょおは♪ イメル♪アのっ ライブ♪ きて~くれ~て♪ ありぃ~がとうっ♪」(Blogより)音が高い1分くらいのかわいい曲でした。この曲…CDにできんくね?

次も曲あったっぽいけど忘れた。変拍子かと思いきや普通の三拍子でイカしたやつだったかしら。Macでリズムとかストリングスとか音流しながらピアノとかギター弾いてるけど、じゃあ全部それでええやんwと思うところもあり、一回ずれたらアウトだな、よく手拍子入れさせたな、とも思い。

ラスト前。バッタをモチーフにしたアイヌの歌を浜渦さんがメチャクチャに壊してくれたとの曲。「Fielen Dank」なんかでもそうだけど、浜渦さんはこういう小さくてフツーのものに目をつけるの楽しいんかなぁと思う。Minaさんの民謡調のこぶしが非常に(・∀・)イイ!! 曲調は、例えば「Zufall」とか「ドレッドノート大爆進!」とかに顕著に見られるタイプのピアノで飛びつ跳ねつのものがIMERUATになってから全体的に増えたかなと思うんだけども、この曲なんかかなりかっこいい。

ラスト「IMERUAT」アイヌ語で稲妻の意味だそうですね。かわいいと言うステッカーもそのデザインみたいです。サイトのTopでデモが流れたりもした曲だけど、フルで聴いたのは初めて。これは大迫力。普段は麗しいチェロやバイオリンが、大気のうねりに聞こえて、スコールの中にいるかのような感じを得た。どこからこんなに音出てくんだろ。ということで見事に痺れました。春の霞、鳥、稲妻、バッタ…好きなんだなぁ。僕も大好きです。やっとお客さんが恥を捨てて拍手できるようになってきた。

   ●アンコール〜サイン会●   
「5、6、7♪」の曲を暴れてもう一回。Minaさん声量Good.
「Choose to Fight」これはサプライズだった。正直ここでかなり雰囲気が変わったw ギターとピアノが片翼の天使かってほどロックンロールしててうわーって感じ。ピアノの大事なモチーフは「Botschaft」の時の慎重な弾き方に似ていたり。足音のテーマは非常に慣れた感じで軽く弾いていた。

でやっとCDの宣伝。今日買ってくれた人にはサインするよ!握手会、ピアノコンサートに続き、また長蛇の列を作る浜渦氏。当然お話ししちゃう。握手もしちゃう。CD以外にもサインしちゃう。写真撮影だってOKしちゃいますよ!狭いもんだからしばらくホールから出られない。最前列のにーさんたちがステージのメモ帳を激写。大体お客さんを観察して、僕が思ったのは、まぁヒョロりと細い人多いかな。鼻が高い人多いな。眼鏡多っ。つまり普通に考えれば幾分閉鎖的で感情が優位。浜渦さんの性格に近いものは勿論あるだろうけども、それが基本ではなくて、浜渦さんにやっと救われる、浜渦さんはわかってくれてると言うことで自分を守れるタイプの人が多いかなーと。

さて、やはり疲れを見せる浜渦さん。楽しみに並ぶ一人ひとり。僕がMinaさんとお話しして、やっぱり変に作らず気取らず、いつでも笑顔というわけですらなく、普通に素直な感じが稀有で好感。北海道にはけっこう冷え性の人多いんだと。手がすっごい暖かくて毛も多めだった。私がファンの顔を少し憶えたように、浜渦さんもファンの顔憶えるんだろうか。別に憶えてもらわなくてもいいから面白いこと言えればいいやと思ってるんだけども、今回は三度目ってこともあってお互い慣れた感じで楽しく話せたと思うよ。「e=katuhu pirka」とかもサインしてもらえばよかったな。最後に田部井氏も出てきてお話ししてもらったよ!地べたに正座させる我々酷いなと思いながら、やっぱり感じ好い人だなーと思った。

   ●雑記●   
任天堂のイベントやFacebookの動画にもいらっしゃるピアニストのベンヤミン・ヌスさんもわざわざいらしてたらしい。気づかんかったアホだ。
ライブの前後にミクシィのコミュニティでオフ会とかあったのかしら。行けばよかったかな。

あとどのタイミングか、深夜にバッハとかモーツァルトの笑える曲聞こかーっつってまさかの受難曲とかかけてこんな副旋律作りおってプギャーみたいな話も感激しましたな。
知らない曲ばかりのライブとは珍しいけど、変な残念さが無いのはいい。

まぁ詳細な記録は長く已めてたけど、記憶の弱ければいま少し子どもらしく、あと普通の浜渦ファンがやらなそうなことやらなきゃなと思って。
蛇の足ですが、文字にする前に音で雰囲気をメモっといたのがこれ。気が向いたら他のリンクとか画像とか整えるかもし。おつかれたんでした★☆★